FC東京は、非常に厳しい結果で約1ヵ月の中断期間を迎えることになった。
鹿島は確かに試合巧者ではある。ナビスコ杯がなかった分、休養をとって臨めた試合の前半は、鹿島にほとんど鹿島らしい試合をさせなかった。そのなかで、ラッキーだったとはいえ李のゴールと、前半終了間際に、エリア外からの渡邉の素晴らしいニアへのシュートが決まって2対0となり、これ以上ない展開だったはずだ。
“2-0は危険なスコア”と良く言われるが、個人的にはそうは思わない。冷静に考えれば、相手に2点獲られても負けではない。しっかりとボール支配して時間を使えば、残りの45分で3点を獲られることは容易ではないし、相手が点を獲るために前がかりになれば、こちらがトドメをさせるチャンスも生まれやすいはずだ。
しかしながら、実際に東京は45分で鹿島に逆転負けをくらった。ただそれは、鹿島が試合巧者だったというよりも、ほとんどが東京の自滅といっていいミスからだった。勝てる試合を易々と落としてしまった訳だ。
DFのチャンの判断、高橋のパスミス、そして途中交代で入った田邉の致命傷となるミス。特に、田邉のミスは、先日の湘南戦で高橋がしてしまったのと同じようなミスだ。自陣エリア付近でクリアすべきところを、大迫がプレスしてきたのをいなそうとしたのか、切り返しを試みるも大迫に突っかけボールを失い、そのままゴール。先日の湘南戦での高橋のプレーを見ていたのなら、決してしてはならないプレーだったが、田邉はそれをおかしてしまった。途中出場ながら交代となったのは、懲罰の部分も大いにあるだろう。
やはり、東京はまだまだ判断と球離れが遅い。特にDFはセーフティファーストにもっと意識を傾けるべきだ。足元にボールを置く時間が長ければ、プレッシャーをかけてきた相手の距離は確実に縮まる。前線や周囲が数的有利な場合は、足元にためて、いなす、かわす、とったプレーも有効だろうが、最終ラインや自陣エリア付近でミスをおかせば、失点への確率は非常に高くなるのだ。
もちろん、攻撃でも同じことがいえる。ワンタッチパスを何度も繋げて(通して)ゴールを決められれば、それはカッコイイのかもしれない。でも、タッチ数を増やせば増やすほど、シュートを打つまでに相手のブロックを受ける可能性も高まる。結果、いい流れを作りながらもシュートを打てないというジレンマに陥り、相手にペースを渡してしまう展開がどれほどあったのか。
この日の前半の東京の得点シーンを振り返って欲しい。李にしても、渡邉のスーパーゴールにしても、アシストや起点となったパスからの手数は多くない。シュートを狙える最初のチャンスでアタックをしかけ、その瞬時の対応に相手がついていけず、ゴールを奪っているのだ。こねくりまわしているよりもシンプルなプレーこそがゴールへの近道でもあるということ、失点を防ぐということを、しっかりと性根に刻まなくてはダメなのではないか。
余裕をもった展開ならいざしらず、流れも悪く、すばやく攻撃を、しかも何度もチャレンジしなければならない状況で、最終ラインでだらだらとボールを回していたり、最終ラインで相手をいなしてから前方へという時間は、本当に無駄だ。そして、そこでの致命的なミスは、チームの気力を一気に落としていく。
東京はメンタルが、精神面が、とよく言われる。もちろん、屈強な精神を持った集団となればいいのだが、精神面などはそう簡単には強化できない。精神力というと大袈裟だが、気の持ちようならば、いくらでも変えられる。そして、前向きに気持ちを変えるにはどうすればいいか。それは、試合中にはしっかりと基本に忠実なプレーを怠らずにやり、自らのプレーに自信と謙虚さを持てるようにしておくことだ。不安定なプレーが続けば、不安が過ぎったり、受身に回ることも多くなる。自ら危険なプレーや判断の状況に追い込まないことも、大切なことなのだ。
鹿島にはまた勝てなかった。ただし、これは鹿島が巧者ということなのでは決してない。あくまでも自滅によって生んだ結果なのだ。中断期、ナビスコ杯も終了したFC東京は、幸いしっかりとあらためて反省し、課題を克服するための時間がある。代表選手として、権田、高橋、東が抜けるが、それ以外の選手はここがチャンスと思って、猛烈にスパートをかけて欲しい。そして、一つのミスが、試合としても、レギュラーとしても、命取りになるという空気を、チーム内にもたらしてもらいたい。
結果は結果。良いときも残念なときもある。だが、少なくともファンやサポーター、そしてチーム自身をがっかりさせるような試合は、もうここで終わりにしてもらいたい。
◇◇◇
≪J1 第13節≫
【日時】2013/05/25 17:05
【会場】県立カシマサッカースタジアム
【観衆】17,969人
【天候】晴れ、弱風
【気温】16.4度
【湿度】71%
【審判】(主審)飯田淳平(副審)五十嵐泰之、中野卓
【結果】
鹿島 3(0-2、3-0)2 FC東京
【得点】
(鹿):大迫(47分)、OG(56分)、大迫(65分)
(東):李(7分)、渡邉(44分)
【FC東京メンバー】
GK 20 権田修一
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人
DF 30 チャン・ヒョンス
DF 06 太田宏介
MF 04 高橋秀人
MF 07 米本拓司
MF 49 ルーカス → FW 13 平山相太(88分)
MF 11 李 忠成 → MF 27 田邉草民(65分) → FW 23 林容平(88分)
MF 38 東 慶悟
FW 09 渡邉千真
GK 01 塩田仁史
DF 16 丸山祐市
MF 17 河野広貴
MF 36 三田啓貴
監督 ランコ・ポポヴィッチ
◇◇◇
03/02(土) ○FC東京 2-1 大分(A)
03/09(土) ○FC東京 3-0 柏 (H)
03/16(土) ●FC東京 0-1 C大阪(A)
03/30(土) ●FC東京 2-3 横浜FM(A)
04/06(土) ●FC東京 0-1 大宮(H)
04/13(土) ●FC東京 1-2 仙台(A)
04/20(土) ○FC東京 3-1 名古屋(H)
04/27(土) ○FC東京 2-0 川崎(H)
05/03(金) ○FC東京 3-2 鳥栖(A)
05/06(月) △FC東京 2-2 磐田(H)
05/11(土) ●FC東京 2-3 湘南(A)
05/18(土) ○FC東京 2-0 清水(H)
05/25(土) ●FC東京 2-3 鹿島(A)
07/06(土) FC東京 × 広島(H)
07/10(水) FC東京 × 浦和(A)
07/13(土) FC東京 × 新潟(A)
07/17(水) FC東京 × 甲府(H)
07/31(水) FC東京 × 清水(A)
08/03(土) FC東京 × 大分(H)
08/10(土) FC東京 × 川崎(A)
08/17(土) FC東京 × 横浜FM(H)
08/24(土) FC東京 × 磐田(A)
08/28(水) FC東京 × 鳥栖(H)
08/31(土) FC東京 × 広島(A)
◇◇◇
◇◇◇