Perfume@横浜アリーナ



 ※ 以下にはライヴの詳細についての多くの記述が含まれています。その旨ご承知の上、自己責任において閲覧ください。



 圧倒的なテクノロジーとシンクロするPerfumeが描く、驚異的なヴァーチャル・エンタテインメント。 

 6thオリジナル・アルバム『Future Pop』を引っ提げたPerfumeの約2年ぶりの全国アリーナツアー〈Perfume 7th Tour 2018「FUTURE POP」〉が、メジャー・デビュー日となる9月21日の長野公演を皮切りに開催。その横浜公演の初日となる2018年12月11日、小雨が降る横浜アリーナへと馳せ参じた。Perfumeの横浜アリーナ公演は、2009年のツアー〈Perfume Second Tour 2009『直角二等辺三角形TOUR』〉以来9年ぶりとのこと。新横浜駅から横浜アリーナまでそれほど距離はないが、その間でも四方八方からPerfumeのライヴへの期待が高まる声を耳する道すがら。気が付くと横浜アリーナの玄関口へ辿り着いていた。開演時刻に近づくと、自然発生的に起こるクラップの波。Perfumeのファンは心底からライヴを楽しみにする気持ちに溢れているのだなということを実感しながら、定刻より7、8分過ぎた開演の時を迎えた。



 おそらく、ここから記すことは当日会場に詰め掛けた観客が抱いた感想のなかでも非常に少数派だと思われるが、開演してからMCまで、アルバム『Future Pop』同様に冒頭の「Start-up」から(たしか)「Let Me Know」までノンストップで繰り広げられたステージは、周囲の盛り上がりとは正反対の“ノレない”時間帯になってしまっていたのが正直なところ。誤解がないように言うと、Perfumeの3人のパフォーマンスに不満があるとか曲構成が気に入らないとか、そういう理由は全くない。『Future Pop』の世界観を同作の収録曲と未来というキーワードで連携した「エレクトロ・ワールド」を組み込んで一気に観客の眼前に日常と非日常の空間を創り上げるというコンセプトは、彼女らがこれまでもチャレンジし、彼女らでしかなしえていないもの。その驚異的なクオリティに言葉を失いかけもする。

 ただ、その驚異的な質がかえってその世界に没頭出来ずにいた要因の一つでもあった。というのも、背面のスクリーンのほかにステージ前面にも展開される可動式パネルを駆使して、幾何学的なデザインからリアリティあるヴァーチャルなさまざまな映像とステージの3人とを同期させたダイナミックな視覚空間を創り上げていくのだが、ステージの3人がトライアングルを保つ空間とそのスペクタクルな映像とのギャップやパネルが前面に配置された時のフロアとの隔たり(もちろんパネルは透過してステージを遮ることはない)を強く感じてしまったのだ。アリーナ以上の大きな会場において3人の距離感をどう保ち、変動させていくかは、自身たちをステージ上で大きく見せる上での課題となるのでは、と以前のライヴレポートのどこかでも言及したと思うが、今回は上下に可動する3つのうち中央のステージで踊ることも多く、前述した前面のパネルとの隔たりとのことを合わせて、演者との距離感を覚えてしまったというところ。ステージサイドには表情が大きく映し出されるスクリーンもあったが、やはり少しでも肉眼で生のパフォーマンスを観たい気質もあり、余計に何か隔たりの印象を強くしてしまった。



 つまるところ、ステージで展開されるテクノロジーが凄すぎて、自分が追いついていけなかったのかもしれない。その後のMCでのっちが「以前やった技術の高いものにチャレンジしたのを機に、さらにかっこよいものを追求して、MCなしのノンストップでストイックなステージに挑戦してみた」との言葉があったが、それはエクスキューズ(弁解)などでは全くなくて、その映像やテクノロジーと彼女らのパフォーマンスとのシンクロは驚愕の一言。ただ、あまりにもそれが“生”というライヴ感と捉えられなかったため、奇しくものっちは「一緒に跳ねたりする“ライヴ”というよりも皆さんに観ていただく“ショー”というスタイル(イメージ)」とも言っていたが、そのライヴ感をステージに重きを置いている自分としては、ステージ上でパフォーマンスしているのが別にPerfumeでなくても成立してしまうのではないか、ボーカロイド的な演出と変わらないのではないか、という感情が頭を過ぎってしまったのだ。

 もしかしたら、それが最先端テクノロジーによって世界3都市に分かれてダンスを披露した「FUSION」を中心とした数曲だったらそこまで強い思いは生まれなかったのかもしれないが。逆に言えば、冒頭から「Let Me Know」までは完全にヴァーチャルなハイクオリティの世界で完遂したとも言える。多くのファンはそれを楽しんだのだろう。



 振り返ってみると、その『Future Pop』楽曲の多くをつぎ込んだ“ストイック”な前半を経て、中盤からは近年のPerfumeらしさを軸にステージを展開。横浜アリーナの空間一面にミラーボールライトがタイトルよろしく宝石のようにキラキラと輝いた「宝石の雨」から薄っすらと妖しさを纏いながらエッジの強い音で鼓動を高める「Butterfly」、彼女ららしいスタイリッシュながらもキュートな心情が伝わる「スパイス」、天空から東京の空へ接近し、東京の夜景を全方位的に映し出すロケーションで歌われた「TOKYO GIRL」、リリックヴィデオ風に言葉がスクリーンに舞うなかで乙女の恋心をラップ調で綴った「575」、エモーションズ「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」マナーのファルセットコーラスも想起させる“Hour”のコーラスが印象的な「Everyday」と、Perfumeワールド全開で前半の不安や杞憂を吹き飛ばしていく。

 毎度恒例の「P.T.A.のコーナー」からの終盤は、あ~ちゃんの発した「この後は弾ける(踊れる)曲しかありません!」のごとく、「FAKE IT」「FLASH」「Party Maker」とレーザーライトやストロボがフロアに乱射されるアッパー・チューンでヴォルテージをさらに上昇させる仕掛け。個人的には観賞する度に正直やや冗長かなと思えるMCにも慣れてしまっているゆえ(笑)、中後半からの演出には明らかな不満はなし。終わってみれば、『Future Pop』の世界観を極限に可視化すべくさまざま熟考して挑んだ結果のステージ構成というところが理解出来れば、当初の隔たりはそれほど感じず、その感触も引きずることはなし。
 とはいえ、音響や演出などの些細な部分については思うところがないといえば嘘になるし、ファーストインプレッションもライヴにおいては重要な要素であることも否定出来ないゆえ、諸手を挙げて満足ともいえないのは自分の性格というところか。



 当ツアーは横浜アリーナ2デイズを終えると、12月23・24日の福岡公演を経て、28・29日と31日の会員限定のカウントダウンライヴが同じく横浜アリーナで行なわれてフィニッシュ。30代の道を歩み始める彼女らだが、チャレンジ精神はくすぶることなく旺盛で、どうやら倦怠や停滞は皆無のようだ。平成の時代は終わりを告げるが、新たな時代の幕開けとともに誰もがなしえない未知なる領域へ駆け上がるためのトライアルが目の前に繰り広げられそうな、そんな予兆の薫りも漂っていた。三十路3人による大人のPerfumeの今後の変化にも要注目だ。


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<SET LIST> ※反転すると見えます ↓
00 INTRODUCCTION
01 Start-up (*FP)
02 Future Pop (*FP)
03 エレクトロ・ワールド
04 If you wanna (*FP)
05 超来輪 (*FP)
06 FUSION (*FP)
07 Tiny Baby (*FP)
08 Let Me Know (*FP)
09 宝石の雨 (*FP)
10 Butterfly
11 スパイス
12 TOKYO GIRL (*FP)
13 575
14 Everyday (*FP)
~ Corner of P.T.A. ~
15 FAKE IT
16 FLASH
17 Party Maker
18 天空 (*FP)
19 無限未来 (*FP)


※(*FP): songs from album“Future Pop”

<MEMBER>
Perfume are:
a-chan / あ~ちゃん(Ayaka Nishiwaki / 西脇綾香)
Kashiyuka / かしゆか(Yuka Kashino / 樫野有香)
Nocchi / のっち(Ayano Omoto / 大本彩乃)


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・2008/11/06 Perfume@日本武道館
・2010/02/13 Perfumeにおけるディスコ論?
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・2018/12/11 Perfume@横浜アリーナ(本記事)

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