
FC東京新シーズン幕開け。
1月5日に2026年シーズンをスタートさせたFC東京が、明治安田J1百年構想リーグのトップチーム編成を発表。選手は小平グラウンドにてトレーニングを開始し、午後には川岸滋也社長、小原光城GM、松橋力蔵監督、新加入選手臨席のもと、報道陣を対象にした新体制発表会見を行なった。
新たにFC東京へ加わったのは、徳島からGK田中颯、スコットランドのセルティックから稲村隼翔、新潟から橋本健人、京都から山田楓喜と、FC東京U-18から鈴木楓、菅原悠太、田中希和、尾谷ディヴァインチネドゥの4名の昇格組。また、期限付きで移籍していた木本恭生が鳥栖から、大森理生が今治から、東廉太が北九州から、佐藤龍之介が岡山からそれぞれ復帰。そして、2025年シーズンにローンでFC東京へ加入していたマルセロ・ヒアン、長倉幹樹を完全移籍で獲得するなど、2025年夏の補強に続いて、選手層の厚さと質が窺える陣容を整えてきた。
併せて、選手の背番号も発表。ほぼ変動はないが、2025年に19番だったマルセロ・ヒアンが9番へ変更。近年ではディエゴ・オリヴェイラが背負い、これまでにも古くはツゥットや呂比須ワグナー、なによりルーカス、そしてカボレやピーター・ウタカらの外国人エース、日本人でも福田健二、渡邉千真、赤嶺真吾、平山相太らFC東京のストライカーとして活躍した選手が背負っていた9番の系譜にマルセロ・ヒアンも加わることとなった。昨季はリーグで8得点、カップ戦含めた通算13得点を挙げたチームのトップスコアラーだが、期待値と金額に見合うまでには不十分。2026年以降のさらなる奮起が求められることとなろう。
移籍・復帰において、大きなトピックとしては、やはり佐藤龍之介の復帰だろう。試合経験を求めて期限付き移籍した岡山でブレイク。FC東京在籍時は出場も少なかったため、岡山へ残るか海外へという意見も少なくなかったが、まずはハーフシーズンで行なわれる特別大会をFC東京で戦うこととなった。もちろん、FC東京での活躍が確約されている訳ではないゆえ、岡山で培った成長をFC東京で活かせるかが課題となる。チームとして佐藤龍之介を使いこなせなかったFC東京に戻るのは悪手ではという揶揄も聞こえなくはないが、在籍当時は(今でも若いが)若く、試合中に光るプレーをしていた瞬間もあったとはいえ、先発起用のファーストチョイスとなり得たかとなると疑問。経験値が不足していたのは否めなかった。近い将来に海外へ旅立つだろうが、その上でもFC東京で確固たる結果を残したいところ。また、佐藤龍之介が常に先発候補となれば、チーム底上げにも大きく貢献するのは間違いない。
日本代表経験もある山田楓喜は、FC東京に不足していたフリーキッカーの穴を埋めてくれそうな期待を抱かせてくれる。個人的には京都在籍時よりも2024年にローン先の東京ヴェルディでの活躍が強く印象に残っていて、同年の開幕戦となった横浜F・マリノス戦での直接FKを決めたゴールをはじめ、リーグでは5得点を記録。U23アジアカップの決勝・ウズベキスタン戦では決勝ゴールを決め、2025年よりポルトガルのCDナシオナルへローン移籍した。だが、思うような活躍が出来ずに京都へ戻るも、好調のチームの輪に入れず、くすぶっていた感じだ。
一撃必殺のFKという一芸に秀でた長所は、FC東京に絶対的に不足していた1ピース。守備面では難を残すかもしれないが、それを踏まえてどのようにチームへ組み込んでいけるか。監督・コーチ陣の手腕が問われる人材ともいえる。2025年は特にCKからの得点の期待がほぼ皆無だったゆえ、山田の質のいいボールの供給で、セットプレーからの得点増加が見込めるかが、山田の出場機会の増減にも影響してくるだろう。
DF陣には稲村隼翔、橋本健人の新潟在籍経験組が加わった。稲村は23歳、橋本健人は26歳と選手年齢層の中間層を埋めてくれそうな人材だ。新潟在籍時に将来性の高さを見込まれ、複数のチームが獲得に目を向けていた選手たちでもあるゆえ、期待値は高い。
だが、個人的には新加入=即先発レヴェルの補強という考えには即座に頷くとまではいかない。無論、ポテンシャルの高さを見込まれての獲得は当然なのだが、新潟は彼らが活躍していてもチームとしてはFC東京よりも下の順位でリーグを終えている。新潟で発揮していたパフォーマンスがFC東京でもそのまま繰り出せるかどうかは未知数だ。それと、守備面での不安も一部囁かれている。そのあたりの成長はあるのか。松橋監督の薫陶を受けたという意味では期待も高まるのはやむを得ないが、FC東京というステージで同様のパフォーマンスや連係が生み出せるか。その不安を杞憂にさせる活躍を望みたい。
その一方で、現有戦力の奮起も大いに求められる。稲村、橋本健人が配されるDFでは、怪我がちのバングーナガンデ佳史扶、当初は先発起用もされていた土肥幹太のほか、ローン移籍から復帰した木本恭生、大森理生、東廉太が、FC東京でポジションを奪い取るための挑戦をしていくことになる。CBにはアレクサンダー・ショルツ、森重真人、SBには長友佑都、室屋成という鉄壁の陣容が揃うなかで、鎬を削るのは並大抵のことではないが、この牙城を少しでも崩していかない限りは、チームとしての躍進に繋がらない。
ムードメイカーだった波多野豪が長崎へ移籍し、1枠空いたGKには徳島より田中颯が収まった。ヴェルディユース出身もトップ昇格ならず、京都産業大学から徳島へ加入。2025年はJ2リーグのベストイレブン、優秀選手賞を受賞し、足元やセーヴもトップクラスという逸材だ。守護神キム・スンギュの壁は高いが、2026年はW杯イヤーということもあり、韓国代表GKとして選出も濃厚のため、いくつか訪れるだろう出場機会でいかにアピール出来るかが肝要となってきそうだ。将来性ある小林将天、後藤亘も含め、GKはヴェテランから若手まで良いバランスの選手層となっており、キム・スンギュ、田中颯の技術やメンタルを継承させていきたい。
スカッドとしては、使った金額も含め、近年にない強力な補強・補充を試みたFC東京。特に前線の選手の豊富さは嬉しくも悩ましいところだ。昨夏以降チームの攻撃の中心となった長倉幹樹、流れのないところからもロングボール1本で打開出来るマルセロ・ヒアン、運動量豊富で献身性が高く、さらに得点力も向上してきた佐藤恵允をどのように共存あるいは使い分けしながらチームを組み立てられるか。
長倉との相性の良さを見せたが、個人としては不調に終わった仲川輝人、ダービーやクラシコ、浦和戦などビッグゲームでの得点感覚がさえている遠藤渓太、ゴール前での精度をより高めて2026シーズンこそ飛躍の年にしたい俵積田晃太、そして多くを怪我で費やし、背水の陣に再起をかける小柏剛など、ポジション争いは壮絶なものとなる(ならなければいけない)。そのせめぎ合いで生まれる競争力こそがチーム力の向上にも直結するのは間違いない。
ハーフシーズンを2026/2027シーズンへの助走ではなく、“優勝”への舵を切ったともいえるFC東京。選手起用や戦術がより大きな影響を与えるのは必至で、松橋監督の手腕がこれまで以上に注視されるのは間違いない。初動で躓こうものなら(昇・降格がないハーフシーズンとはいえ)一気にその首が飛んでも可笑しくない、言い訳の効かない陣容となった。これらをどのようにマネジメントしていけるか、重責が圧し掛かるが、不安を吹き飛ばし、快哉を叫ぶシーズンとなるよう(そして怪我人が一人でも少なくなるよう)、まずは見守っていきたい。
◇◇◇
◆FC東京 明治安田J1百年構想リーグ トップチーム編成
※2026年1月5日現在
【選手】
〈GK〉
1 田中 颯 ○(←徳島)
31 小林将天
58 後藤 亘
81 キム・スンギュ
〈DF〉
2 室屋 成
3 森重真人
4 木本恭生 △(←鳥栖)
5 長友佑都
6 バングーナガンデ佳史扶
15 大森理生 △(←今治)
17 稲村隼翔 ○(←セルティック〈スコットランド〉)
24 アレクサンダー・ショルツ
32 土肥幹太
42 橋本健人 ○(←新潟)
44 鈴木 楓 ○(←FC東京U-18)
50 東 廉太 △(←北九州)
〈MF〉
8 高 宇洋
10 東 慶悟
18 橋本拳人
21 菅原悠太 ○(←FC東京U-18)
22 遠藤渓太
23 佐藤龍之介 △(←岡山)
27 常盤亨太
33 俵積田晃太
37 小泉 慶
38 田中希和 ○(←FC東京U-18)
48 荒井悠汰
71 山田楓喜 ○(←京都)
77 北原 槙
〈FW〉
9 マルセロ・ヒアン
11 小柏 剛
16 佐藤恵允
26 長倉幹樹
28 野澤零温
39 仲川輝人
55 尾谷ディヴァインチネドゥ ○(←FC東京U-18)
88 山口太陽
○新加入
△復帰
【スタッフ】
〈監督〉
松橋力蔵
〈ヘッドコーチ〉
時崎 悠
〈コーチ〉
小林 稔
小倉裕介
〈GKコーチ〉
山下渉太
〈アシスタントGKコーチ〉
井上亮太
〈コーチ兼アナリスト〉
埴田 健
池澤波空
〈ヘッドオブアナリシス〉
藤 宏明
〈データアナリスト〉
白水優樹
浅原啓人
〈ハイパフォーマンスダイレクター〉
早川直樹
〈フィジカルコーチ〉
ギレルメ
安野 努
〈フィジオセラピスト〉
宮間幸久
〈チーフトレーナー〉
三枝正人
〈トレーナー〉
青木直文
香城洋平
〈トレーナー兼フィジオセラピスト〉
垣見修平
〈チーフマネージャー〉
本谷健太
〈マネージャー兼通訳〉
飯野一徳
〈エキップ兼通訳〉
リカルド・アキラ
〈マネージャー兼エキップ〉
佐藤隆也
〈ホペイロ〉
山川幸則
〈チームパフォーマンスアドバイザー〉
福富信也
〈GKプロジェクトリーダー〉
高桑大二朗

